SEMの操作方法マニュアル

金蒸着

試料の金蒸着の方法を以下に示す.試料が非伝導性の場合この作業を行う必要がある.蒸着には2つの役割がある.1点目は試料表面に金属の性質を持たせることである.SEMの特性上,試料は導体である必要があるが,当然ながら対象となる試料すべてが導体とは限らない.2点目は試料の水分をとばすことである.SEM内部は真空状態にあり,水分は空間内に拡散してしまう.電子ビームを抵抗なく進ませるためにSEM内は真空に保たれているのだが,もし水分がある場合電子ビームは散乱してSEMのフィラメントや電子レンズの故障の原因となってしまう.蒸着機内で一度試料を真空空間内にさらすが,これにより試料の水分をSEM内部に入る前にとばすことができ,SEMの保護につながっている.ただし,目に見えて水滴があるようなものを蒸着すると機器の故障の原因になるので注意が必要である.

 

1. 試料をステージの上に乗せる.一度に34個の蒸着が可能である.

2. ステージを蒸着装置内に入れる.

3. フタを閉め,抑えながら電源をONにする.蒸着装置が起動し内部に真空をひき始めるので,これ以降は電源を切るまでふたを開けないようにする.

4. しばらくしたらふたから手を放し,右側にある2つのランプのうち左側VACUUMが緑に点灯するまで待つ.

5. 点灯したらSTART/STOPボタンを押す.すると左側のランプが赤色に点灯し蒸着を開始する.

6. ランプが2つとも消えた後,緑ランプが点灯するまで待つ.

7. 手順56を数回繰り返すと,赤色のランプが点灯し続ける状態となり,ランプ下部の目盛の時間だけ蒸着が行われる.

8. 赤色のランプが消えたら蒸着装置の電源をOFFにして,ステージを取り出す.この時ステージは高温になっているので注意する.

研究室の走査型電子顕微鏡を使いたいときに使ってください!

 蒸着装置