SEMの操作方法マニュアル |
欠点 |
◎タイムラグの発生 光学顕微鏡に比べ焦点深度が100倍以上深く広範囲にわたり立体的な像を得られるが,画像化するまでに装置内での信号処理過程を経るため,観察点の移動や倍率の変更にタイムラグが生じてしまう. ※焦点深度…試料上のある点に焦点を合わせたとき,奥行きのある試料だと焦点が外れる点ができるが,焦点がずれていてもボケを感じない範囲を焦点深度と言う.電子ビームの開き角が小さいほど焦点深度は深くなり,観察倍率が高くなるほど焦点深度は浅くなる.SEMは光学顕微鏡に比べると一般に数十倍焦点深度は深い. ◎試料への影響 観察とは基本的に非破壊的であることがニーズとなっているが走査型電子顕微鏡には電子線照射によるダメージを生じさせる特徴がある.このことを照射損傷という.
◎試料の制限 基本的に表面観察であるため薄膜のような外形に特徴のない試料から得られる情報は少ない.また,電子線を用いるため絶縁性試料の観察は導電性コーティング(蒸着)を要するなど困難が伴う.他には,複数の材料が混じっている試料の場合,材料によってはじき出される2次電子の量が違うため同じ形でも材料が違えば画面上で見え方が違う.これは試料表面の形状を知りたいときは短所となるが,逆に材料の違いを知りたいときは長所となる.
◎チャージアップの発生 2次電子放出のためチャージアップという現象が起こりやすい. ※チャージアップ…非導電性試料を観察したときに起きる現象.帯電の影響によって試料に入射する電子ビームが偏向されて像が歪むことや,試料から放出されて検出器に入射する二次電子の軌道が変わることで,不安定な異常コントラストが起きることがある.
◎磁場の影響 TEM(透過型電子顕微鏡)に比べて電子の加速電圧が低いので磁性物質の磁場による影響を受けやすい.
<体験談からの欠点> ◎繊細な装置であるため設置環境などに左右されやすく立ち上がるまでに時間がかかったりする.
◎フィラメントなどの消耗品もあり取り換えが必要.
◎絶縁体の蒸着などに時間がかかる. |
研究室の走査型電子顕微鏡を使いたいときに使ってください! |